こんにちは 行政書士わたなべ事務所の渡辺晋太郎です。
さて、今回は相続についてです。
相続は日常生活の中で何度も経験することではありませんので、どのようにすすめたらよいかよくわからない方も多くいらっしゃると思います。家族が亡くなったときは、悲しみの中でいろいろな手続きを進めなければならず、相続もその一つです。その時になってあれこれ調べることにならないように、またスムーズに手続きを進められるように相続の基本についてご案内します。
相続とは?
相続とは、ある人が亡くなった際に、その人が生前所有していた財産や負債を、遺言書や法律上の規定に基づいて他の人に引き継ぐことを指します。
財産の分け方は大きく3つに分けられます。
1.遺言書に従う
2.法律のルールに従う
3.話し合いで決める
一つ一つ詳しく見ていきましょう。
なお、相続において、亡くなった方を「被相続人」、財産を受け継ぐ方を「相続人」と呼びます。
財産の3つの分け方
遺言書に従う
個人が遺言書を作成していたのであれば、その内容通りに財産を分けます。
例外として、遺言書通りに分けなくてもよいケースが2つあります。
①遺留分(法律で定められた相続人の最低限の取り分)を侵害する場合
→遺言書に書かれた内容が遺留分に満たない場合には、その分を請求することができます。
※遺留分があることを知った時から1年、相続の発生後10年経過すると請求できなくなります。
②相続人全員が合意した場合
→遺言書の内容通りではなく、合意した内容で相続することができます。
遺言書がない場合は、次の2つのどちらかの方法で財産を分けることになります。
法律のルールに従う
民法に定められた相続人の順位とそれぞれの相続分に従って財産を分けることを「法定相続」といいます。この時に、相続できる権利のある人を「法定相続人」といいます。
法定相続人となる人は「配偶者」「子ども」「親」「きょうだい」です。事実婚や内縁など法律上婚姻関係ではない男女は法定相続人とはなりませんが、養子や胎児(死産を除く)は法定相続人となります。
法定相続人の中でも順位が決められていて、法定相続人であれば必ず財産をもらう権利があるかというとそういうわけではありません。
配偶者は常に相続人となり、それ以外の順位は以下の通りです。
第1順位 子ども
第2順位 親
第3順位 きょうだい
第1順位に該当する相続人がいない場合に第2順位が相続人となり、第1、第2順位ともにいない場合に第3順位が相続人となります。
相続時に子どもは亡くなっているが、孫がいる場合はその孫が子どもに代わって相続人となり、これを代襲相続といいます。子供も孫もいないがひ孫がいる場合は、ひ孫が相続人に、というように対象者がいる限り代襲相続は続きます。第2順位である親も同様ですが、第3順位のきょうだいの代襲相続は1代限りで、甥・姪の子どもであるいとこは法定相続人にはなりません。
法定相続の割合
相続人のパターン | 法定相続分 |
配偶者のみ | すべて(1/1) |
配偶者と子ども | 配偶者:1/2 子ども:1/2 |
配偶者と父母 | 配偶者:2/3 父母:1/3 |
配偶者ときょうだい | 配偶者:3/4 きょうだい:1/4 |
子どものみ | すべて(1/1) |
父母のみ | すべて(1/1) |
きょうだいのみ | すべて(1/1) |
※法定相続人が複数いる場合、法定相続分はそれぞれの人数で按分します。
(例:配偶者と子2人の場合)
法定相続分→配偶者:1/2、子ども:1/4ずつ
話し合いで決める
被相続人の残した財産を、相続人全員でどのように分け合うかを決める話し合いを遺産分割協議といいます。「相続人全員」がポイントで、一人でも欠けるとその協議は無効となりますし、あとから相続人が名乗り出てきた場合は、協議はやり直しとなります。
また、相続人の中に未成年者がいる場合は、特別代理人を、認知症など意思能力がないとされた場合は、後見人を選任する必要があります。
話し合いがまとまったら、その内容を記載した遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・捺印することで法的な効力を持つことになります。なお、この遺産分割協議書がないと、不動産の相続登記や預貯金の払い戻しなど、遺産の名義変更手続きをすすめることができません。
もし、相続人同士で合意できずに話し合いがまとまらない場合はどうすればよいでしょうか?その場合は、弁護士に遺産分割協議の仲介を依頼するか、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて、解決を目指すことになります。
まとめ
財産の分け方は、遺言書があれば遺言書の通り、なければ法定相続か遺産分割協議のどちらかを選ぶことになります。
実際には多くの方が、遺産分割協議を選びます。不動産を法定相続分に従って分けるとその不動産が複数の相続人で共有状態となり、その後の手続きが面倒になることから、不動産がある場合には法定相続を選ぶことはほぼありません。
遺産分割協議はまとまらないこともありますし、まとまったとしても相続人の間でしこりを残すこともあります。また、遺産分割協議と遺産分割協議書の作成には時間と労力がかかりますので、そうならなくてもいいように遺言書を書くことをお勧めしています。当事務所では、遺言書作成のお手伝いをいたしますし、遺産分割協議書の作成などの相続手続きのお手伝いもいたします。
初回の相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
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