家族信託の実務②受託者の「税務署への報告義務」を行政書士が解説

家族信託

こんにちは 松戸市の行政書士わたなべ事務所の渡辺晋太郎です。

家族信託がスタートした後の実務において、財産を預かる受託者が最も気を配らなければならないのが「税務署への手続き」です。

家族信託は「家族の間の財産管理」というイメージが強いですが、法的な名義変更やお金の動きが伴うため、適切なタイミングで税務署へ届け出を行わないと、思わぬペナルティや課税トラブルを招くリスクがあります。

今回は、家族信託に関係する税務署への届出書類について、実務上重要となる「4つの場面」に分けて、行政書士が解説します。


家族信託で税務署への届出が必要な「4つの場面」

家族信託における税務の手続きは、信託のライフサイクルに合わせて以下の4つのタイミングで発生します。

  • ① 家族信託の開始時
  • ② 信託契約の期間中(毎年)
  • ③ 信託の変更時(受益者交代など)
  • ④ 信託契約の終了時

実は、①・③・④の場面で提出する書類の名称はすべて同じ、「信託に関する受益者別(委託者別)調書合計表」という書類です。それぞれの場面で「誰が」「いつまでに」提出しなければならないのか、具体的に見ていきましょう。

家族信託開始時に税務署に提出する書類

信託契約を結び、財産を信託口口座に移したり不動産の信託登記を完了したりして信託がスタートした際、最初の届出義務が発生します。

【注意】自益信託なら原則不要、他益信託は「50万円」が基準

家族信託の多くは、委託者と受益者が同一人物である「自益信託」(例:親が委託者で、親自身が受益者となる一般的な認知症対策の信託)からスタートします。この場合は、実質的な財産の移動(贈与)がないため、この調書の提出は不要です。

一方で、最初から「委託者=親、受益者=子」とするような「他益信託」の場合、受益者別に評価した信託財産の相続税評価額が50万円を超えるときは、この書類を確実に提出しなければなりません(50万円以下の場合は免除されます)。

信託契約期間中、毎年税務署に提出する書類

信託がスタートした後は、毎年定期的に税務署へ報告を行う義務が生じるケースがあります。

  • 提出書類: 「信託の計算書合計表」
  • 提出義務者: 受託者
  • 提出期限: 毎年1月31日まで(前年1月1日〜12月31日の期間分)
  • 提出先: 受託者の住所地を所轄する税務署

【注意】提出基準は年間収益「3万円」

この書類は、信託財産から生じる収益(アパートの家賃収入や、信託された株式の配当など)が年間で3万円を超える場合に提出が必要となります。

信託変更時に税務署に提出する書類

信託の期間中に、受益者が変わったり、契約内容に大きな変更があったりした場合にも届出が必要です。

【注意】「受益者の交代」は税務上の大イベント

家族信託の期間中に「受益者が交代する」というのは、税務上で最も注意すべきタイミングです。

例えば、最初の受益者であった父親が亡くなり、第二受益者として母親(または子)が権利を引き継いだ場合、実質的に「信託受益権という財産の相続(または贈与)」が発生したとみなされます。

このとき、交代した新受益者別に評価した信託財産の相続税評価額が50万円を超える場合は、この調書の提出が必須となります。これとは別に、新受益者側での相続税や贈与税の申告必要になるケースが多いため、変更時には必ず専門家へ相談することをお勧めします。

信託契約終了時に税務署に提出する書類

目的を達成したり、受益者が亡くなったりして信託契約が完全に終了(終了事由の発生)した際、最後の締めくくりとして提出する書類です。

【注意】残った財産の帰属と50万円基準

信託が終了し、残った財産が「残余財産帰属権利者(子どもなど)」に引き渡される際も、その信託財産の相続税評価額が50万円を超える場合は、この調書を税務署に提出しなければなりません(残余財産がない場合や、50万円以下の場合は免除されます)。


まとめ

家族信託は一度スタートすると長期間にわたって続くため、受託者となったご家族がこれらの複雑な税務基準(50万円・3万円)をすべて把握し、期日通りに書類を提出するのは容易ではありません。

当事務所では、信託契約の設計だけでなく、スタートした後の税務署への対応についても税理士と連携しながらトータルでサポートしております。運用の仕方に不安がある受託者様は、ぜひお気軽にご相談ください。家族信託専門士である行政書士がお話をお伺いします。

初回の相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
詳しくは行政書士わたなべ事務所まで

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