「死因贈与」は遺言より確実?ポイントと注意点を行政書士が解説!

遺言

こんにちは 行政書士わたなべ事務所の渡辺晋太郎です。

相続対策と聞くと、「遺言書」を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、財産を特定の誰かに確実に残すための方法として、「死因贈与(しいんぞうよ)」があります。

これは「私が死んだら、この不動産をあなたにあげます」というように、贈与者(あげる人)の「死亡」によって効力が生じる「贈与契約」のことです。

今回は、この死因贈与について、遺言との違い、知っておきたいメリット・デメリット、そしてトラブルを避けるための契約書作成のポイントを、詳しく解説していきます。

死因贈与とは?「遺贈」との決定的な違い

死因贈与がよく似た仕組みである「遺贈(いぞう)」と混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。

項目死因贈与遺贈(遺言)
法的性質契約
(贈与者と受贈者の合意)
単独行為
(遺言者の一方的な意思表示)
受贈者の承諾必要(契約なので)不要(遺言書作成時には)
方式の要件口頭でも成立する
(※ただし書面推奨) 
民法で定められた厳格な方式
撤回遺言の規定が準用され、原則としていつでも撤回可能原則としていつでも撤回可能
登記受贈者が仮登記を単独で申請できる場合がある遺言執行者などが関与して本登記を行う

死因贈与の最大のポイントは「契約」であることです。遺贈が「あげる人」の一方的な意思で完結するのに対し、死因贈与は「あげる人」と「もらう人」の生前の合意(契約)が必要です。

この「契約」という性質が、後の手続きや確実性に大きな影響を与えます。

知っておきたい!死因贈与の3つのメリット

では、死因贈与を活用することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット①:受贈者の意思を事前に確認できる確実性

遺言書は、亡くなるまでその内容を知られないことも多く、遺された家族が「受け取るか分からない」という不安を抱えることがあります。

しかし、死因贈与は生前に契約を結ぶため、受贈者が「本当にその財産を受け取りたいか」「負担(後述)を引き受ける意思があるか」を事前に確認し、合意のもとで手続きを進められます。これにより、贈与者の死後に受贈者が契約を拒否するという事態を防げます。

メリット②:法定相続人以外にも確実に財産を残せる

内縁の妻や、献身的に介護してくれた親族など、法定相続人ではない特定の方に確実に財産を残したい場合に非常に有効です。遺言書と同様に、法律上の制限なく財産を渡すことができます。

メリット③:不動産をめぐるトラブルを事前に防げる(仮登記)

不動産を死因贈与の対象とする場合、契約後に受贈者が単独で「仮登記」を行うことができます。(公正証書で契約した場合など)

仮登記をしておけば、贈与者が亡くなった後、相続人が「この不動産は死因贈与の対象ではない」などと主張し、不動産の所有権を争うというトラブルを未然に防ぎやすくなります。

注意が必要!死因贈与の2つのデメリットと対策

死因贈与には多くのメリットがありますが、いくつかの注意点もあります。

デメリット①:撤回されるリスクがある

死因贈与も、民法上は遺言に関する規定が準用されるため、贈与者は原則としていつでも撤回が可能です。

せっかく契約を結んでも、贈与者の気が変わり撤回されてしまう可能性があります。これを防ぐには、「負担付死因贈与」として契約を結ぶという方法があります。例えば、「あなたに不動産をあげる代わりに、私の死ぬまで介護をしてください」といった受贈者側の義務(負担)を設定することで、撤回が難しくなります。

デメリット②:遺留分侵害額請求の対象となる

死因贈与も遺言による遺贈と同様に、法定相続人が持つ「遺留分(いりゅうぶん)」を侵害する可能性があります。

例えば、長男以外の第三者に全財産を死因贈与した場合、長男は遺留分を侵害されたとして、受贈者に対し「遺留分侵害額請求」を行うことができます。この請求が行われると、受贈者は金銭での支払いに応じる義務が生じ、かえってトラブルの原因となることがあります。

【対策】 遺留分権利者がいる場合は、遺留分に配慮した財産の配分を検討するか、あらかじめ遺留分権利者と交渉・合意しておくことが非常に重要です。

死因贈与契約書作成の重要ポイント

死因贈与は口頭でも成立しますが、トラブル回避のためには必ず「死因贈与契約書」を作成すべきです。特に、「公正証書」で作成することを強くお勧めします。

ポイント①:財産執行者を指定する

贈与者が亡くなった後、受贈者が単独で所有権移転登記などの手続きを進めるのは、相続人の協力が得られない場合など、困難を伴うことがあります。

契約書の中で、「財産執行者(遺言執行者に準じる立場)」を指定しておけば、執行者が登記手続きや契約の履行を代行できるため、手続きがスムーズかつ確実になります。弁護士や司法書士、そして相続に強い行政書士を執行者に指定することが一般的です。

ポイント②:負担の内容を具体的に明記する(負担付の場合)

「献身的な介護」といった負担を受贈者に課す場合は、「週に〇回の訪問介護」「月〇円の生活費援助」など、その内容をできる限り具体的に記載しましょう。抽象的な表現だと、後に「義務を果たしていない」といった争いにつながるリスクがあります。

ポイント③:公正証書で作成する

公正証書で契約書を作成すると、公証役場に原本が保管されるため、紛失や偽造の心配がありません。また、公正証書にすることで、不動産の仮登記や、執行者による手続きが格段にスムーズになります。費用はかかりますが、その確実性を考えれば、最大の安心材料となります。

まとめ

「死因贈与」は、遺言書という単独行為では得られない「契約の確実性」を持つ、非常に強力な相続対策の一つです。しかし、その契約の性質上、遺留分や撤回など、専門的な知識をもって対応すべき点が多く存在します。

「誰に」「何を」「どういう条件で」残したいのか。その意思を確実に実現するためにも、死因贈与をご検討される際は、ぜひ一度、ご相談ください。あなたの想いを守り、スムーズな承継をサポートさせていただきます。

初回相談は無料です。お気軽にご連絡ください。
詳しくは行政書士わたなべ事務所まで

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