こんにちは 行政書士わたなべ事務所の渡辺晋太郎です。
近年、「終活」という言葉をよく耳にするようになりました。人生の最期に向けて準備をしておくことは、ご自身の安心のためだけでなく、残されたご家族の負担を減らすためにも、非常に大切なことです。
その終活の第一歩として、多くの方におすすめしているのが「エンディングノート」です。
以前、エンディングノートの基本的なことについて投稿いたしましたが、今回はその続編です。
「遺言書とどう違うの?」「何を書けばいいの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。今回は、エンディングノートに書くべき大切なことについて、詳しく解説していきます。
エンディングノートは「自由な日記」、遺言書は「法的な約束」
まず、エンディングノートと遺言書の違いを明確にしておきましょう。
- エンディングノート
法的な効力はありません。ご自身のこれまでの人生の記録や、家族へのメッセージ、葬儀やお墓の希望など、自由に書き記すことができます。 - 遺言書
民法で定められた厳格な方式に従って作成する必要があり、法的な効力を持ちます。主に、財産の分け方について定めます。
エンディングノートは、遺言書では書けないような、想いや希望を伝えるためのツールです。ご家族が困らないように、そしてご自身の最期を納得のいく形で迎えるために、書くべきことはたくさんあります。
エンディングノートに書くべき7つの大切なこと
エンディングノートは市販のノートを使うのも良いですが、ご自身で項目を整理しながら書くのもおすすめです。以下の7つの項目を参考に、書いてみましょう。
① 自分の情報
- 基本情報
氏名、生年月日、本籍、血液型、持病、アレルギーなど - ID・パスワード
携帯電話、パソコン、SNS、メールアドレス、銀行のネットバンキングなど。パスワードは直接書かず、ヒントやルールを書いておくと安心です。 - クレジットカード・サブスクリプション情報
解約しないと年会費などの引き落としが続きます。 - 連絡先リスト
親しい友人、親族、かかりつけ医、弁護士、税理士、行政書士などの連絡先をまとめておくと、ご家族が困りません。
② 医療・介護の希望
- かかりつけ医、主治医
病院名や連絡先 - 延命治療の希望
延命治療を希望するか、しないか。どのような状況で延命治療を望まないのか、具体的な希望を書いておきましょう。 - 臓器提供の意思
臓器提供をするか、しないか。意思表示カードの有無など。
この項目は、もしもの時にご家族が大きな決断を迫られる際の助けとなります。ご自身の意思を明確にしておくことで、ご家族の精神的な負担を軽減できます。
③ 葬儀・お墓の希望
- 葬儀の形式
家族葬、一般葬、一日葬など - 葬儀を行う場所
地域の斎場、自宅など - 参列者
呼んでほしい人、呼ばなくていい人 - 遺影の写真
使ってほしい写真や、その写真の保管場所 - お墓の希望
既存のお墓への納骨、樹木葬、散骨など。また、お墓の管理をお願いしたい人についても記載しておきましょう。
葬儀やお墓は、ご自身の希望を明確に伝えておかないと、ご家族が手探りで準備を進めることになり、後悔につながることもあります。
④ 財産・お金のこと
- 預貯金
銀行名、支店名、口座番号 - 不動産
所在地、権利証の保管場所 - 有価証券
証券会社名、口座番号、保有銘柄 - 生命保険・年金
加入している保険会社名、年金の種類 - 借入金・ローン
借入先の情報、残高
この項目は、相続人が最も困る部分です。財産の全貌が分からず、手続きが滞るケースが多いため、隠し財産がないか確認しながら、できる限り詳細に書き記しておきましょう。
⑤ ペットのこと
- ペットの名前、種類、年齢:
- かかりつけの動物病院:
- ペットのお世話を任せたい人:
大切な家族の一員であるペットの行く末も、エンディングノートで定めておきましょう。誰に引き取ってもらい、どのように世話をしてほしいか、具体的に書いておくと安心です。
⑥ 身の回りのものの処分
- 形見分けの希望
特定の品物を特定の誰かに渡したいという希望 - 処分してほしいもの
パソコンやスマートフォン、日記など、他者に見られたくないもの - コレクション
処分方法や、価値のあるものの情報
ご自身が亡くなった後、ご家族が遺品整理に困らないように、身の回りのものの処分方法について希望を伝えておきましょう。
⑦ 家族へのメッセージ
- 感謝の言葉
家族や友人への感謝の気持ちを綴りましょう。 - 伝えたいこと
遺言書では書けない、温かい言葉や人生の教訓などを残しておきましょう。
このメッセージは、ご家族にとって何物にも代えがたい「宝物」になります。
まとめ
エンディングノートは、それ自体に法的効力はありませんが、遺言書を補完する重要な役割を担います。
- エンディングノートに財産情報を詳しく書いておけば、遺言執行者(遺言の内容を実現する人)が手続きを進めやすくなります。
- 葬儀やお墓の希望を書いておくことで、ご家族の負担を軽減し、ご自身の意思を反映できます。
「何から始めたらいいか分からない」「複雑な財産がある」という方は、まずは行政書士にご相談ください。エンディングノートの書き方から、法的に有効な遺言書の作成まで、あなたの終活を全面的にサポートいたします。
初回相談は無料です。お気軽にご連絡ください。
詳しくは行政書士わたなべ事務所まで


