こんにちは 行政書士わたなべ事務所の渡辺晋太郎です。
大切なご家族を亡くされた後、残されたご遺族には様々な手続きが待っています。その中でも特に重要で、かつトラブルになりやすいのが遺産分割協議です。
相続人全員で話し合い、相続財産をどのように分けるか決める遺産分割協議。しかし、「相続人の一人が行方不明で連絡が取れない」「疎遠な親族なので連絡先が分からない」といった理由で、話し合いが進められずにお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、相続人と連絡が取れない場合に、遺産分割協議をどのように進めれば良いのかを解説します。
遺産分割協議には「相続人全員の合意」が不可欠!
まず大前提として、遺産分割協議は相続人全員の合意がなければ成立しません。
一人でも協議に参加しなかったり、合意しなかったりすると、遺産分割協議書は法的に無効となります。
これは、行方不明の相続人であっても例外ではありません。連絡が取れないからといって、その人を除外して勝手に話し合いを進めてしまうと、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。
例えば、遺産分割協議書に署名捺印がない場合、不動産の相続登記ができなかったり、故人の銀行預金を引き出せなかったりといった問題が生じます。
では、どうすれば良いのでしょうか?
連絡が取れない相続人を見つけるための3つのステップ
まずは、連絡が取れない相続人を探すことから始めます。以下のステップを順に試してみてください。
ステップ1:戸籍の附票で現住所を調べる
相続人の最後の住所を知っている場合、その住所地の役所で戸籍の附票を取得します。戸籍の附票には、その戸籍が作られてから現在までの住所の移り変わりが記録されているため、現住所が判明する可能性があります。
- 必要書類: 連絡が取れない相続人の氏名、生年月日など
- 請求者: 原則として相続人本人、または直系尊属・卑属(親、子、孫など)
ステップ2:住民票を追いかける
戸籍の附票で現住所が分からなかった場合、住民票を追いかけることになります。
戸籍の附票に記載されていた最後の住所地の役所で、住民票の除票(転出や死亡などで住民ではなくなった人の住民票)を請求します。除票には転出先の住所が記載されているため、その情報を基に次の役所へと順にたどっていけば、現住所にたどり着く可能性があります。
【注意点】 これらの書類を請求するには、相続人であることを証明する書類(戸籍謄本など)が必要です。また、請求できる人は法律で定められているため、行政書士などの専門家に依頼することも検討しましょう。
ステップ3:親族や知人に情報提供を求める
戸籍をたどる作業で現住所が判明しない場合、他の親族や共通の知人などに連絡して、情報を集めてみるのも有効な手段です。意外なところから連絡先が見つかることもあります。
それでも連絡が取れない場合:2つの法的手続き
上記のステップを試しても連絡が取れない場合、遺産分割協議を進めるためには、家庭裁判所での手続きが必要になります。
①不在者財産管理人制度
相続人が生死不明、または所在が分からない場合、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てることができます。
不在者財産管理人とは、連絡の取れない相続人の代わりに、その人の財産を管理する人です。遺産分割協議においても、不在者財産管理人が本人の代理として協議に参加し、合意形成を行うことができます。
- 申立人: 利害関係人(他の相続人など)
- 選任される人: 専門家(弁護士など)が選任されるのが一般的です。
- 費用: 不在者財産管理人の報酬や予納金(申立て時に納める費用)が必要です。
この制度を利用すれば、他の相続人だけで勝手に手続きを進めることなく、法的に有効な形で遺産分割協議を完了させることができます。
②失踪宣告制度
相続人が7年以上行方不明で生死が不明な場合、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることができます。
失踪宣告が認められると、その相続人は法律上「死亡したもの」とみなされます。これにより、その相続人は相続権を失い、他の相続人だけで遺産分割協議を行うことができます。
- 申立人: 利害関係人(配偶者、相続人など)
- 注意点: 失踪宣告には長い期間(7年以上)が必要であり、また、後から本人が生存していたことが判明した場合、宣告が取り消される可能性があります。
まとめ
相続人と連絡が取れない場合、遺産分割協議を進めるのは非常に困難です。
まずは、地道に現住所を探すことから始め、それでも見つからない場合は、家庭裁判所での手続きを検討する必要があります。
「戸籍をたどる作業が複雑で分からない」「家庭裁判所での手続きは不安」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、相続手続きを専門とする行政書士にご相談ください。
行政書士は、戸籍謄本の収集代行から相続関係説明図の作成、さらには遺産分割協議書作成まで、一連の手続きをサポートすることができます。
一人で悩まず、専門家と一緒に、円満な相続を実現するための道を探していきましょう。
初回の相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
詳しくは行政書士わたなべ事務所まで