こんにちは 行政書士わたなべ事務所の渡辺晋太郎です。
「終活」という言葉を聞いて、どんなイメージを抱くでしょうか。「死への準備」や「高齢になってから考えること」といった、少しネガティブな印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、それは終活のほんの一面に過ぎません。
私は、終活を「これからの人生を、より自分らしく、そして大切にするための前向きな活動」だと考えています。これは、単に身の回りを整理するだけでなく、ご自身の人生を振り返り、未来をデザインしていくための時間です。
今回は、「終活とは何か?」という本質的な問いに答えながら、その目的や理由について解説していきます。
終活の本質的な意味とは?
終活とは、一言で言えば「人生の棚卸し」です。
これは過去・現在・未来という三つの時間軸で行われます。
- 過去の棚卸し
自分がこれまでどんな人生を歩んできたのか、どんな経験や財産、人間関係を築いてきたのかを振り返ります。 - 現在の棚卸し
今、自分にとって本当に大切なものは何か、何に時間やお金を使いたいのかを見つめ直します。 - 未来の棚卸し
これからどう生きたいか、そして自分の最期をどう迎えたいか、誰に何を託したいかを考え、計画します。
終活は、誰かに指示されるものではなく、ご自身の意思を形にするための活動です。自分の人生の最終章を、誰かに任せるのではなく、自分でしっかりとデザインしていくこと。これが終活の本当の意味です。
なぜ終活をするのか? 3つの主要な理由
終活がこれほど注目されているのには、明確な理由があります。
理由①:ご自身の「安心」と「満足」のため
将来、ご自身の身に何かが起きたとき、どのような医療を受けたいか、どのような介護を望むか、といった希望を明確にしておくことで、漠然とした不安を解消できます。これはご自身の尊厳を守ることにもつながります。また、身の回りの整理を進めるうちに、「本当に大切なもの」が見えてくることがあります。それによって、残りの人生で何を大切にしたいか、何に時間を使いたいかがはっきりし、日々の満足度が大きく向上します。
理由②:大切な家族への「思いやり」のため
終活は、残されたご家族への最大のプレゼントとも言えます。遺産相続は、時にご家族間の深刻なトラブルに発展することがあります。遺言書を書いておくことで、こうした争いを未然に防ぎ、ご家族が安心して暮らせるように配慮できます。また、ご自身の死後の葬儀、納骨、役所の手続き、家財整理など、ご家族が行うべき作業をあらかじめ整理しておくことで、ご家族の精神的・物理的な負担を大幅に軽減することができます。
理由③:社会との「つながり」を整理するため
現代の終活には、「デジタル終活」が欠かせません。SNSアカウント、ネット銀行、オンラインサービスなど、ご自身の死後も残ってしまうデジタルな情報をどうするか決めておく必要があります。これらを放置しておくと、ご家族がパスワード管理や解約手続きで困ってしまう可能性があります。また、年賀状や連絡先など、人間関係を見つめ直す良い機会にもなります。
終活でやるべきこと:3つのステップ
終活は、難しく考える必要はありません。ご自身の人生を「整理」する3つのステップで考えてみましょう。
- 「モノ」の整理:身の回りを片付ける
- 「情報」の整理:デジタルと人間関係を整理する
- 「想い」の整理:未来への希望を形にする
これらのステップを一つひとつ見ていきましょう。
ステップ1:モノの整理
家の中にある不要な物を片付けることから始めます。これは物理的な整理だけでなく、過去を振り返る良い機会になります。
- 遺品整理のシミュレーション
ご自身が亡くなった後、家族が困らないよう、身の回りにある物を「残すもの」「捨てるもの」「誰かに譲るもの」に分類します。 - 財産目録の作成
ご自身の財産をすべて書き出します。預金通帳、不動産、有価証券、貴金属、骨董品など、財産の種類と場所を明確にリストアップしておくと、相続の手続きがスムーズになります。 - 貴重品の保管場所の明確化
印鑑、通帳、保険証券、年金手帳、不動産権利証など、重要な書類や貴重品の保管場所を家族に伝えておきましょう。
ステップ2:情報の整理
現代の終活に欠かせないのが、デジタル情報の整理です。
- デジタル終活
- パスワードの管理: インターネットバンキング、クレジットカード、SNSアカウント、オンラインサービスなど、多岐にわたるIDとパスワードを一覧にまとめます。
- データの整理: スマートフォンやパソコンに保存されている写真、動画、文書データなどを整理し、必要なものは家族がアクセスできるようにしておきます。
- 人間関係の整理
- 連絡先の整理: 冠婚葬祭などの付き合いがある方や、特に親しい友人、お世話になった方の連絡先リストを整理しておきましょう。
- お付き合いの方向性: 今後のお付き合いの仕方について、ご自身の意思を明確にしておくと、負担が軽減されます。
ステップ3:想いの整理
これは、ご自身の未来や、残された家族への想いを具体的に形にするステップです。
- エンディングノートの作成
ご自身のプロフィール(生年月日、趣味など)から、医療・介護の希望、お葬式の形式、お墓の希望まで、様々な情報を書き留めます。 - 遺言書の作成
ご自身の財産を誰にどのように遺すかを定めます。遺言書があると、相続をめぐる家族間のトラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ
終活は、特別な人だけがすることではありません。年齢に関係なく、誰でも、そして「今」から始められる身近な活動です。
「何から始めたらいいかわからない」「誰に相談すればいいのか」と迷ったら、まずはお気軽にご相談ください。皆様の「こうしたい」という想いを一つひとつ丁寧に伺い、最適な方法で未来への準備をお手伝いいたします。
初回相談は無料です。お気軽にご連絡ください。
詳しくは行政書士わたなべ事務所まで