こんにちは 行政書士わたなべ事務所の渡辺晋太郎です。
近年、「認知症による財産凍結」や「円滑な資産承継」といった課題への備えとして、家族信託(民事信託)が注目を集めています。
家族信託とは、大切な財産を信頼できる家族に託し、目的(例えば、「自分の老後の生活費として使う」「子が障害を持っているからその生活資金を確保する」など)に沿って管理・運用してもらう仕組みです。
この仕組みを理解するために不可欠なのが、信託契約における三者の役割と、それぞれが持つ「権利」です。今回は、財産を託す人(委託者)、財産を管理する人(受託者)、利益を受け取る人(受益者)の権利と義務について、詳しく見ていきましょう。
委託者(財産を託す人)の権利
委託者は信託を設定した人であり、信託契約の内容を定める大きな権限を持ちます。信託成立後は、財産の所有権は受託者に移るため、日常的な管理・処分に関する権利は持ちませんが、信託の根幹に関わる重要な権利を有します。
- 信託状況の報告請求権
受託者に対して、信託事務の処理状況や信託財産の状況について報告を求める権利があります。 - 受託者の選任・解任に関する権利
受益者との合意により、受託者を解任したり、新しい受託者を選任したりする権利を持ちます。 - 信託の変更・終了に関する権利
信託契約に別段の定めがない限り、受託者および受益者との合意により、信託の目的変更や終了などの重要な事項を決定する権利があります。 - 損失填補請求権
受託者が任務を怠ったことなどにより信託財産に損害が生じた場合、受託者に対してその損失を補うよう請求する権利を持ちます。
受託者(財産を管理・運用する人)の権利と義務
受託者は、委託者から託された信託財産の所有名義を持ち、信託目的に従って受益者のために財産を管理・運用・処分する役割を担います。権利よりも義務が非常に重いのが特徴です。
主な権限(権利)
- 信託財産の管理・処分権
信託目的に沿って、不動産の売買、賃貸、金銭の運用など、信託財産に関する一切の管理・処分行為を行う権限があります。ただし、その範囲は信託契約によって限定されることがあります。 - 費用の償還請求権
信託事務の処理のために支出した費用について、信託財産から償還(支払い)を受ける権利があります。 - 報酬請求権
信託契約で定めがある場合に限り、受託者として労務の対価として報酬を請求する権利があります。
主な義務(責任)
- 善管注意義務
善良な管理者としての注意をもって、信託事務を処理する義務(常識的な注意を払う義務)を負います。 - 忠実義務
受益者のため、誠実に信託事務を処理する義務を負います。 - 分別管理義務
信託財産と、受託者自身の固有の財産を明確に分けて管理する義務を負います。 - 報告義務
受益者(または委託者)からの請求に応じて、信託事務の処理状況や財産状況を報告する義務を負います。
詳しくは下記記事をご覧ください。
受益者(利益を受け取る人)の権利
受益者は、信託財産から生じる経済的利益を受け取る人です。この利益を受け取る権利と、受託者の仕事ぶりを監督する権利を合わせて「受益権」と呼びます。
受益権の内容
- 経済的給付を受ける権利(受益債権)
- 信託契約で定められた方法(例:家賃収入、配当金など)に従い、受託者に対して信託財産から金銭やその他の給付(利益)の引き渡しを請求する権利です。
- 受託者を監督する権利
- 報告請求権
受託者に対し、信託事務の処理状況や会計帳簿などの開示・報告を求める権利。 - 受託者解任請求権
受託者が義務に違反した場合など、家庭裁判所に対し受託者の解任を申し立てる権利。 - 行為の差止請求権
受託者が信託契約に違反する行為をしようとしている場合に、それをやめるよう請求する権利。
- 報告請求権
受益者は、これらの権利を通じて、受託者の不正を防ぎ、自分の利益が適切に守られるように監督することができます。家族信託では、委託者自身が受益者を兼ねる「自益信託」のケースが非常に多いです。
まとめ
家族信託は、この「委託者(設計)」「受託者(実行)」「受益者(享受・監督)」の役割分担と、それに伴う権利・義務のバランスによって成り立っています。
特に受託者は権限が大きい分、重い義務を負うため、誰を指名するか、また、信託契約でどのようなルール(制限)を設定するかが、家族信託の成功を左右します。
ご自身の、またはご家族の将来の安心のために、ぜひこの三者の関係を理解し、専門家と相談しながら最適な信託設計を進めてください。
まずは、お気軽にご相談ください。家族信託専門士である行政書士が皆様の不安を安心に変えるお手伝いをさせていただきます
初回の相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
詳しくは行政書士わたなべ事務所まで


