こんにちは 行政書士わたなべ事務所の渡辺晋太郎です。
終活において、最も重要なのが、「財産の棚卸し(財産整理)」です。
「うちには大した財産はないから大丈夫」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは大きな誤解かもしれません。財産の棚卸しは、資産の多寡に関わらず、すべての人が行うべき「大切な家族への思いやり」です。
今回は、この「財産の棚卸し」の必要性と、具体的な進め方について、解説していきます。
財産の棚卸しが「終活の要」である理由
なぜ、元気なうちに財産の棚卸しをしておく必要があるのでしょうか。それは、ご自身のためだけでなく、残されたご家族の未来を守るために他なりません。
「隠れ財産」と「負の遺産」の明確化
ご自身はすべてを把握していても、ご家族は知らない財産が意外と多く存在します。
- デジタル遺産
ネット銀行、ネット証券、ポイント、仮想通貨、有料サービスのIDやパスワードなど - 休眠口座
昔使っていたが放置している銀行口座(本人以外は解約が非常に困難) - 契約関係
加入している保険、年金、クレジットカードの付帯サービスなど - 負債
住宅ローン、借入金、連帯保証人になっている事実など
これらの「隠れ財産」や「負の遺産(借金)」が不明確なままだと、ご家族は死亡後の手続きや相続において、大きな負担を強いられることになります。特に負債は、相続放棄を検討しなければならない場合もあり、期限があるため迅速な判断が必要です。
遺産分割のトラブルを未然に防ぐ
財産目録がないと、ご家族間で「あの口座はどこにある?」「この不動産は誰の名義だ?」といった情報共有から始めなければならず、精神的な余裕がない中で大きなストレスとなります。
また、特定の財産だけが把握され、遺産分割の対象から漏れることで、後からトラブルになるケースも少なくありません。財産をすべて明確にすることで、公平で透明性の高い相続の土台が築けます。
ご自身の老後資金と向き合う
財産の棚卸しは、同時にご自身の老後資金のシミュレーションにもつながります。年金や貯蓄、保険などを洗い出すことで、「このままで生活していけるか」「何を整理・活用すべきか」といった、今後の人生設計を現実的に見直すことができます。
行政書士が推奨する「財産の棚卸し」の進め方
財産の棚卸しは、特別な知識よりも「モレなく記録する」ことが重要です。行政書士は、このリスト化のサポートや、次のステップである契約・遺言書作成のサポートを行います。
ステップ1:財産の種類を洗い出す
まずは、ご自身が持っているすべての財産と負債を種類別にリストアップします。この段階では、金額は概算で構いません。
| 資産(プラスの財産) | 負債(マイナスの財産) | 契約・デジタル情報 |
| 現金・預貯金 銀行名、支店名、口座番号 | 借入金・ローン 金融機関名、残高 | 生命保険・医療保険 会社名、証券番号、受取人 |
| 有価証券 証券会社名、銘柄、口座番号 | 未払金 未払いの医療費、税金など | 年金 加入状況、年金手帳の場所 |
| 不動産 (土地、建物、マンションの所在) | 連帯保証債務 保証内容、債務者名 | クレジットカード 会社名、会員番号、年会費 |
| 動産・貴金属 車、美術品、骨董品など | デジタル資産 ネット銀行、SNS、ID/PW |
ステップ2:詳細情報を記録し「財産目録」を作成する
洗い出した項目について、以下の詳細情報を記録し、最終的な「財産目録」としてまとめます。
| 項目 | 記録すべき詳細情報 |
| 預貯金 | 銀行名、支店名、正確な口座番号、口座名義、現在の残高、通帳・キャッシュカードの保管場所 |
| 不動産 | 所在地、種類(土地・建物)、面積、権利証(登記識別情報)の保管場所、固定資産税納税通知書の保管場所 |
| 生命保険 | 保険会社名、証券番号、受取人名、契約内容(満期・解約返戻金)、担当者連絡先 |
| デジタル資産 | サービス名(例:〇〇ネット銀行、Xなど)、ID、パスワードのヒントまたは保管場所(※パスワード自体は目録に書かず、厳重に保管する) |
ステップ3:目録を整理し、保管場所を家族に伝える
財産目録は、ご自身が亡くなった後、ご家族がすぐに参照できる状態にしておくことが重要です。
- 一箇所に集約する
紙またはデータで目録を作成し、それをまとめたファイルやフォルダを準備します - エンディングノートの活用
作成した目録の「保管場所」を、エンディングノートに必ず記載します - 家族への共有
目録の存在と保管場所を、信頼できるご家族や任意後見受任者(行政書士など)に必ず伝えておきます
棚卸しの先にある「法的な準備」
財産の棚卸しは、単なるリスト作りで終わりではありません。そのリストを基に、より安心な未来を築くための法的な準備に移ります。
遺言書の作成
財産目録ができたら、「誰に、どの財産を、どれだけ渡したいか」という具体的な意思表示を、法的な効力を持つ遺言書として作成します。これにより、ご自身の意思通りに財産を承継させることができます。
財産管理委任契約の検討
まだ判断能力があるうちに、体調不良や入院などでご自身での財産管理が難しくなった場合に備え、行政書士などの専門家に代わりに財産管理を委任する契約を検討します。
見守り契約とセットでの安心設計
見守り契約を行政書士と結ぶことで、定期的な見守りを通じて、財産管理が必要な状況、または任意後見を開始すべき認知症の兆候などを早期に察知してもらうことが可能になります。
まとめ
財産の棚卸しは、手間がかかる作業であり、途中で挫折してしまう方も少なくありません。また、法律に基づいた正確な目録作成や、その後の遺言書、各種契約へとスムーズに繋げるためには、専門家のサポートが欠かせません。
行政書士は、お客様の財産状況を丁寧にヒアリングし、法的に有効な財産目録の作成サポートから、遺言書作成、そして任意後見・見守り契約まで、一連の「終活」手続きをトータルでサポートいたします。
「何から手をつけていいか分からない」という方は、ぜひ一度、ご相談ください。あなたの「安心」への第一歩を、力強くお手伝いいたします。
初回相談は無料です。お気軽にご連絡ください。
詳しくは行政書士わたなべ事務所まで

