こんにちは 行政書士わたなべ事務所の渡辺晋太郎です。
近年、「終活」という言葉がすっかり定着しました。人生の終わりに向けた準備として、まず思い浮かぶのが「エンディングノート」ではないでしょうか。
書店に行けば、様々な種類のエンディングノートが並んでいますし、テレビや雑誌でも取り上げられることが増えました。
しかし、「エンディングノートって、結局何のために書くの?」「メリットばかり聞くけど、デメリットはないの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、エンディングノートの本当の意味と、そのメリット・デメリットを解説していきます。
エンディングノートとは?その本当の意味
一言で言うと、エンディングノートは「あなたの人生を記録し、家族へのメッセージと、万が一の時のための指針をまとめたもの」です。
法的な効力を持つ「遺言書」とは異なり、エンディングノートには決まった形式やルールはありません。ご自身の想いを自由に、そして具体的に書き記すことができます。
エンディングノートの本当の意味は、「自分のために書く」のではなく、「残された家族のために書く」という点にあります。
もしあなたが突然病に倒れたり、亡くなってしまったりした場合、ご家族は以下のような様々な問題に直面します。
- どの銀行に口座があるのか、パスワードは何なのか分からない。
- 延命治療を希望するのか、しないのか、本人の意思が分からず悩む。
- 葬儀やお墓について、本人の希望が分からず、手探りで進めなければならない。
- 遺品整理をする際、何が重要で、何を処分して良いのか分からない。
エンディングノートは、これらの問題に対する「羅針盤」となり、ご家族を混乱や不安から守るための大切なツールなのです。
エンディングノートのメリット
エンディングノートには、主に以下のようなメリットがあります。
家族の負担を大きく軽減できる
これがエンディングノートの最大のメリットです。
財産情報(銀行口座、証券会社、保険、借金など)をまとめておくことで、ご家族は財産の全体像をすぐに把握でき、手続きをスムーズに進められます。また、医療や介護、葬儀に関する希望を書いておけば、ご家族は「これで本人の希望通りに進められる」と安心し、大きな決断に悩む必要がなくなります。
自分の人生を見つめ直す機会になる
エンディングノートは、ご自身のこれまでの人生を振り返る良い機会になります。
「今までどんな人生を歩んできたのか」「感謝を伝えたい人は誰か」「これからどんなふうに生きていきたいか」といったことをじっくり考えることで、今後の人生をより有意義に過ごすきっかけにもなります。
遺言書を補完する役割を果たす
遺言書は、法的な効力を持つ反面、書ける内容が限定的です。
一方、エンディングノートは、遺言書では書けない個人的なメッセージや、財産以外の希望(ペットのこと、身の回りのものの処分など)を自由に書くことができます。これにより、遺言書だけでは伝えきれない、あなたの想いを残すことができます。
エンディングノートのデメリット
多くのメリットがあるエンディングノートですが、いくつかのデメリットや注意点も存在します。
法的な効力がない
これはメリットでもあり、デメリットでもあります。
エンディングノートに「自宅を長男に相続させる」と書いても、法的な効力はないため、遺産分割協議で揉める可能性があります。財産の分け方を法的に指定したい場合は、必ず遺言書を作成する必要があります。
紛失や盗難のリスク
エンディングノートは、どこに保管するかが非常に重要です。
もし、紛失してしまったり、特定の相続人に勝手に持ち出されてしまったりすると、ご自身の意思が正しく伝わらない可能性があります。また、財産情報やID・パスワードなどを詳しく書きすぎると、盗難や不正利用のリスクも生じます。
【対策】
- 信頼できる家族に保管場所を伝えておく。
- 財産情報などは、直接口座番号などを書かず、ヒントや索引を書いておく。
書き直しが必要になる
人生は変化します。ご家族の状況や財産の内容が変われば、エンディングノートの内容も更新する必要があります。
一度書いて満足してしまい、その後の変更を怠ると、情報が古くなり、かえってご家族を混乱させてしまう可能性があります。
まとめ
エンディングノートは、「想い」や「希望」を伝えるためのツールです。一方、遺言書は、「財産」の分け方を法的に定めるためのツールです。
この二つの違いを理解し、それぞれを上手に使い分けることが、円滑な相続への第一歩となります。
- エンディングノート
自分の想いを自由に、具体的な希望を書き残す。 - 遺言書
財産の分け方など、法的な効力を持たせたい内容を厳格なルールに沿って書く。
「何から始めたらいいか分からない」「遺言書もエンディングノートも、どこまで書けばいいの?」とお悩みでしたら、お気軽に当事務所にご相談ください。
あなたの終活を全面的にサポートし、ご自身の安心と、ご家族の負担軽減を両立させるお手伝いをさせていただきます。
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