受託者が先に死亡する「まさか」に備える!対応策を行政書士が解説

家族信託

こんにちは 行政書士わたなべ事務所の渡辺晋太郎です。

近年、高齢になった親の財産管理や、障がいを持つお子さんの将来を安心して託せる仕組みとして、家族信託が注目を集めています。家族信託は、信頼できる家族に財産管理を任せることで、柔軟かつ継続的なサポートを実現できる素晴らしい制度です。

しかし、家族信託を設計する上で、絶対に考えておかなければならない「まさか」があります。それは、「受託者が委託者(財産の持ち主)よりも先に亡くなってしまう」という事態です。

受託者は、信託財産の所有者として、法律上の権利と義務をすべて負う非常に重要な役割です。もし、その受託者が先に亡くなってしまったら、信託財産はどうなってしまうのでしょうか?

今回は、その対策について解説していきます。

受託者が死亡しても信託契約は終了しません

受託者が死亡した場合、原則的にはその時点で同時に信託契約は終了しません。
しかし、新たな受託者が就任しない状態が1年継続した場合に信託契約が終了すると定められています(信託法第163条)。

新受託者はどう決める?

家族信託において、受託者が何らかの理由で任務を終えた場合(辞任、死亡など)、新しく受託者を選任する必要があります。その決め方は、大きく分けて以下の3つの方法があります。

①信託契約で事前に定めておく

これが最も理想的で、確実な方法です。家族信託を設計する際に、信託契約書の中で、受託者の次の後継者(第二受託者や予備受託者)を具体的に指定しておくことができます。

  • 具体的な人物を指名しておく
    「受託者である長男が死亡した場合は、次に次男を受託者とする」というように、特定の人物を明記します。これにより、受託者の交代がスムーズに行われ、信託が途切れることがありません。
  • 後継者の選任方法を定めておく
    具体的な後継者がいない場合でも、「受益者と信託監督人の協議により、新しい受託者を選任する」といったように、選任方法を定めておくことも可能です。

この方法であれば、受託者が亡くなった時点で、自動的に次の受託者が決まるため、委託者や受益者が改めて手続きをする必要がなく、安心です。

②委託者と受益者が協議して決める

信託契約書に新受託者に関する規定がない場合、委託者と受益者が協議して、新しい受託者を選任することができます。

③裁判所に選任を申し立てる

上記2つの方法でも新しい受託者が決まらない場合、または委託者も受益者も判断能力がない場合など、やむを得ない事情がある場合は、利害関係人(他の受益者や信託監督人など)が家庭裁判所に申し立てて、新しい受託者を選任してもらうことができます。

この場合、裁判所が信託の目的に最も適した人物(専門家など)を選任しますが、手続きに時間と費用がかかるというデメリットがあります。

まとめ

家族信託で受託者が交代する場合、最も理想的なのは信託契約書の中で「第二受託者」をあらかじめ指定しておくことです。これにより、受託者の交代がスムーズに行われ、信託の目的が達成できなくなるリスクを回避できます。

家族信託は、ご家族の状況に合わせて自由に設計できるのが最大の魅力です。しかし、その柔軟さゆえに、専門知識のない方が自己流で契約書を作成すると、今回のような重大なリスクを見落としてしまう可能性があります。
家族信託を検討する際は、万が一の事態に備え、専門家と相談しながら、将来を見据えた信託契約書を作成することが非常に重要です。

当事務所では、お客様のご家族構成や財産の状況を丁寧にヒアリングし、万が一の事態にも対応できる、「安心」を形にした家族信託契約書の作成をサポートしています。

家族信託を検討されている方は、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。
初回の相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
詳しくは行政書士わたなべ事務所まで

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