相続手続きをスムーズに!「法定相続情報一覧図」を行政書士が解説

相続

こんにちは 行政書士わたなべ事務所の渡辺晋太郎です。

大切な方を亡くされた後、悲しみに暮れる間もなく、銀行口座の解約、不動産の名義変更、証券会社の口座移管など、さまざまな相続手続きに直面します。これらの手続きを進める上で、必ず必要となるのが「故人の出生から死亡までの戸籍謄本」や「相続人全員の戸籍謄本」といった大量の戸籍書類です。

これらの書類は、金融機関や法務局など、手続きを行う機関ごとに提出を求められるため、「何通も同じ書類を揃えるのが大変」「費用がかさむ」といったお悩みを抱える方も少なくありませんでした。

そんな相続手続きの負担を軽減するために導入されたのが「法定相続情報証明制度」です。この制度を利用して作成される「法定相続情報一覧図」が、相続手続きの強力な味方となります。

今回は、法定相続情報一覧図とは何か、そのメリット、取得方法について解説していきます。

法定相続情報一覧図とは?

法定相続情報一覧図とは、故人の氏名、最後の住所、生年月日、死亡年月日と、その相続人全員の氏名、生年月日、故人との続柄を一覧にした家系図のような書類です。法務局に申出を行い、必要な戸籍書類などを提出することで、登記官が内容を確認し、証明書として発行してくれます。

この一覧図は、法務局のお墨付きが付いた「公的な証明書」として扱われるため、相続手続きの際に、複雑な戸籍謄本の束の代わりに提出できるようになります。

なぜ法定相続情報一覧図が必要とされているのか?

この制度が導入される前は、例えば銀行口座を解約する際、証券会社の口座を移管する際、不動産の名義変更を行う際など、それぞれの機関に対して、同じ戸籍謄本の束を何度も提出する必要がありました。

  • 手間と時間
    複数の機関に提出するたびに、戸籍謄本の原本を返却してもらい、また次の機関に提出する、という手間が発生していました。あるいは、各機関が原本を確認できるよう、大量の戸籍謄本のコピーを添付して提出し、後日原本照合のために再度提出するという煩雑さもありました。
  • 費用の負担
    各機関に原本を提出する場合、返却までに時間がかかり、並行して手続きを進めるために、同じ戸籍謄本を何通も取得し直す必要があり、その都度発行手数料がかかっていました。

法定相続情報一覧図があれば、この煩わしさが解消され、相続人の方々の負担が大きく軽減されます。

法定相続情報一覧図のメリット

法定相続情報一覧図を利用する最大のメリットは、以下の点に集約されます。

相続手続きの劇的な効率化

銀行、証券会社、法務局、税務署など、相続手続きを行うさまざまな機関に対して、戸籍謄本の束を何度も提出する必要がなくなります。
法務局で一度一覧図の交付を受けてしまえば、その後の手続きは、戸籍謄本の束の代わりに各機関に一覧図の写しを提出するだけで済みます。これにより、手続きのスピードが格段に上がります。

費用の節約

同じ戸籍謄本を何通も取得し直す必要がなくなるため、戸籍取得にかかる手数料を抑えることができます。
大量の戸籍書類を持ち歩いたり、コピーを取ったりする手間がなくなり、心理的な負担も軽減されます。

複雑な親族関係の可視化

相続関係が複雑な場合でも、一覧図にすることで、誰が相続人であるかを一目で把握でき、関係者全員が共通認識を持てるようになります。

法定相続情報一覧図の取得方法

法定相続情報一覧図の取得は、以下のステップで進めます。

ステップ1:必要書類の収集

申出には、以下の書類が必要です。

  1. 故人に関する書類
    • 出生から死亡までのすべての戸籍謄本:相続人を確定するために最も重要な書類です。
    • 住民票の除票(本籍地記載のもの)または戸籍の附票:被相続人の最後の住所を確認します。
  2. 相続人に関する書類
    • 相続人全員の戸籍謄本(現在のもの):各相続人の氏名、生年月日などを確認します。
    • 各相続人の住民票(本籍地記載のもの):各相続人の現住所を確認します。
    • 申出人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど顔写真付きのもの)のコピー:申出人が相続人であることを確認します。
  3. その他
    • 申出書:法務局のウェブサイトからダウンロードできます。
    • 法定相続情報一覧図の写し:申出人が作成したもの。所定の様式があります。
    • 委任状(行政書士などの代理人が申出を行う場合)

これらの戸籍書類の収集は、非常に時間と手間がかかる作業です。特に、転居や婚姻などで本籍地を何度も変更している場合、何十通もの戸籍を遡って収集する必要があることも珍しくありません。

ステップ2:法定相続情報一覧図の作成

収集した戸籍書類に基づいて、法定相続情報一覧図を作成します。 法務局が指定する様式に従って、故人を中心として、配偶者、子、孫、親、兄弟姉妹などの相続関係を図にしていきます。各相続人の氏名、生年月日、故人との続柄を正確に記載します。

ステップ3:法務局への申出

作成した法定相続情報一覧図と必要書類を揃えて、以下のいずれかの法務局に申出を行います。

  • 故人の最後の本籍地
  • 故人の最後の住所地
  • 申出人の住所地
  • 故人名義の不動産の所在地

原則として郵送での申出も可能です。

ステップ4:交付

法務局の登記官が提出された書類と一覧図の内容を確認し、問題がなければ「法定相続情報一覧図の写し」を交付してくれます。通常、申出から交付までには1週間から2週間程度かかります(時期や混雑状況によります)。 交付される写しの枚数は、申出人が必要とする枚数を指定できます。

まとめ

法定相続情報証明制度は、相続人の皆さんの負担を大きく軽減してくれる非常に便利な制度です。特に、複数の金融機関で手続きが必要な場合や、遠方に住む相続人がいる場合などには、その効果を強く実感できるでしょう。

しかし、この制度を利用するためには、正確な戸籍収集と一覧図の作成が不可欠であり、不慣れな方にとってはかなりの労力を要する作業となるかもしれません。

当行政書士事務所では、皆様の相続手続きがスムーズに進むよう、戸籍収集の代行から法定相続情報一覧図の作成・申出まで、包括的にサポートさせていただいております。

「どこから手をつけて良いか分からない」「平日は役所に行く時間が取れない」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。相続人の皆様が、故人を偲ぶ時間を大切にできるよう、複雑な手続きは私たち専門家にお任せください。
初回の相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
詳しくは行政書士わたなべ事務所まで

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